アバンサール創立の原点ー理想と現実のはざまで
- 吉川義之
- 10月13日
- 読了時間: 2分

アバンサールの歩みは、2012年、通所介護事業の開設から始まりました。
「地域に本当に必要とされる通所介護をつくりたい」―それが私たちの出発点でした。
当時、私は通所リハビリテーション施設の管理者として働いていました。そこでは、要支援から要介護5までの利用者が、同じ空間で、同じプログラムを受けている現状に強い違和感を抱いていました。
地域社会の中であれば、支え合い(互助)が自然に生まれ、要支援の方が要介護の方を支える構図が成立します。しかし、公的給付によって運営される通所介護の制度の中では、「サービス基準を誰に合わせるのか」という根本的な問いが生まれます。結果として「平等(同じものを均等に配る)」は実現できても、「公平(必要に応じて適切さを調整する)」が揺らいでしまう。
私はこの制度的な歪みに対して、“自分で事業所をつくることで解決できるのではないか”と考えるようになりました。
こうして立ち上げたのが、医療保険でのリハビリ算定日数が上限に達した方が、介護保険を用いて医学的リハビリテーションを継続できるようにする施設でした。理念は明確で、「地域に必要なリハビリテーションの場を提供する」こと。ところが、現実は想像以上に厳しいものでした。理学療法士が開設した施設ということもあり、医療的な介入が必要な方ばかりが紹介され、結局は要支援から要介護5までが混在する―以前と同じ構造を自ら再現してしまったのです。
理想と現実のはざまで葛藤しながらも、私は目の前の利用者さんと向き合い続けました。
掲げた理念と現場の状況との間にギャップを感じつつも、ありがたいことに依頼は少しずつ増えていきました。ただ、その一方で、「信念を曲げることだけはできない」という思いが日ごとに強まっていきました。
資金繰りもままならない中、私は次の決断を下すことになります。
―その選択が、後のアバンサールの進化を大きく左右することになりました。



コメント