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未来会計図を用いた損益分岐点の探り方ー「年間何名にサービスするか」を曖昧にしない

  • 吉川義之
  • 9月15日
  • 読了時間: 3分
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 アバンサールでは毎年2月、幹部と一緒に未来会計図を使って来年度の予算をつくります。

ポイントは “売上から考えない” こと。まず経常利益の目標と固定費を決め、そこから逆算して 必要粗利 → 売上目標 → 損益分岐点 を導きます。

未来会計図の良さは可視化できること。見えるからこそ、幹部だけでなく全社員と共有できます。



未来会計図で損益分岐点を出す手順


経常利益の目標を決める

ビジョンマップとマイルストーンを基に、来期の投資や返済額を踏まえて目標経常利益を設定します。


固定費(販管費+営業外費用)を決める

人件費は昇給・採用計画を織り込み、来期見込みを決定します。その他経費は昨年度実績をベースに必要投資を加味して見積もりします。そして、利息などの営業外費用を計算します。→ これで固定費の総額が固まります。


必要な粗利益を逆算する

計算式:必要粗利益 = 固定費 + 目標経常利益

未来会計図上で足し算するだけなので簡単です。


粗利率を計算して売上目標を決める

計算式:売上目標 = 必要粗利益 ÷ 粗利率

(粗利率 = 粗利益 ÷ 売上 = 1 − 変動比率)


補足例:昨年の売上が1,000万円、変動費100万円なら粗利益は900万円。

粗利率は 900 ÷ 1,000 = 0.9(90%)。この0.9を使って売上目標を計算します。


損益分岐点を出す

目標経常利益を0円に置いて同じ式で計算すれば、経常損益ベースの損益分岐点売上になります。(式:損益分岐点売上 = 固定費 ÷ 粗利率)。



売上目標を“現場の言葉”に分解する


売上は 顧客数 × 利用頻度 × 単価。

アバンサールでは、単価と頻度は前年実績をベースに大きく変えず、主に顧客数を調整レバーにします。つまり、「1日に何名の方にサービスを提供するか」まで落とし込みます。


①    年間売上目標 → 月 → 日へ割り戻す

②    事業所ごとに、キャパと稼働を踏まえた日次の必要人数を算出

③    事業所別の積み上げが全社目標と一致しているかを毎日チェック


ここまで具体化すると、現場の会話は「今日あと何名必要か」になります。曖昧さが減り、動きが揃います。



まとめ


・未来会計図は、利益から逆算して「必要粗利 → 売上目標 → 損益分岐点」を一望できる道具。

・売上目標は 顧客数 × 頻度 × 単価 に分解し、日次×拠点別で運用する。

・現場が毎日使える単位まで具体化すれば、「やること」が明確になりズレが減る。


数字は未来をつくるためのツール。曖昧さをなくし、実行しやすい形に落とし込む――それが、私たちの未来会計です。


次回は、「測る」ことで意思決定の根拠を数字で語れるようにするコックピット運用を少しだけご紹介します。


未来会計図
未来会計図

 
 
 

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