財務三表を”いつも”思い浮かべるー現場判断をブレさせない習慣
- 吉川義之
- 9月8日
- 読了時間: 3分
更新日:9月15日

経営を始めた当初の私は、そもそも「財務三表」という言葉すら知りませんでした。
初めて 損益計算書(P/L)・貸借対照表(B/S)・キャッシュフロー計算書(C/F) を目にしたときは、ただ数字が並んでいるだけに見えたものです。勉強を重ねるうちに数字の意味がつながり、今では「会社の状態を把握するための大切な“地図”」になりました。創業社長である私が三表の意味を腑に落とした瞬間、正直「これはヤバい」と感じ、数年かけて体質改善を進めようと決めました。
三表はすべてが連動しています。どれか一枚だけを単独で眺めても本質は見えません。大切なのは、三表を同時に思い浮かべる習慣です。これは過去のブログ「ビジョンと算盤」「キャッシュは生命線」の実務編でもあります。
三表を“動くイメージ”にする
医療に携わる身として、私は糖尿病管理にたとえると理解しやすいと感じています。
損益計算書(P/L)=血糖値
いまの代謝状態(=足元の収益性)を示す指標。直近の月次を中心に変化が速く、対処も効きやすい。一方で、健診前だけ食事を控えれば数値は整って見える—短期の見栄えに騙されやすいのも事実です。
貸借対照表(B/S)=HbA1c
過去の生活習慣の積み重ねが反映される指標。数日の調整ではごまかせません。会社でも、売掛・在庫・負債・自己資本といった「体質(蓄積の結果)」がここに表れます。
キャッシュフロー計算書(C/F)=“血糖の出入りと調整”のバランス
入金(取り込む)と支払い(使う)のリズム。現金が少なすぎれば低血糖のように動けない。一方、慢性的に現金が積み上がりすぎていれば、必要な投資や回収設計が滞っている可能性もあります。過不足なく巡らせる設計が肝心です。
一見、血糖値(P/L)が良くても、不摂生が続けばHbA1c(B/S)は悪化します。
C/F(巡り)が乱れれば、そもそも身体(会社)が動きません。
逆に、C/Fが安定していれば、長期の体質改善(B/S)と収益改善(P/L)に挑めます。
私の優先順位と実務
私は会社経営を「食事療法と運動療法を併用し、焦らず体質改善する」イメージで進めています。優先順位は次のとおりです。
まずC/F(生命線)を毎週に確認
・資金繰りを“毎週”確認/入金状況と大きな支払がないかを確認
次にB/S(体質)を整える
・売掛、在庫の滞留を圧縮/負債と自己資本のバランスを見直す
P/L(足元の走り)は日々の積み重ね
・顧客×単価×利用頻度と固定費の“構造”で改善
・短期の見栄えに偏らず、C/F・B/Sとの整合を外さない
要するに、P/Lは大切。ただし“P/Lだけに囚われない”。
C/Fで息を整え、B/Sで体をつくり、P/Lで走る——この順序を崩さないようにしています。
まとめ
・三表は単独でなく“同時”にイメージする。
・C/Fを守り、B/Sを整え、P/Lで走る。
・短期の数字に惑わされず、体質改善を続ける仕組みをもつ。
地道ですが、この習慣こそが現場判断をブレさせない——今の私の結論です。
【次回・次々回のテーマ】
次回テーマ:「未来会計図」を使った損益分岐点の探り方
—「どの数量・単価・粗利で、どこまで固定費を吸収できるか」を可視化します。
次々回テーマ:コックピット会議
—“測る”ことで意思決定の根拠を数字で語れるようにする運用を紹介します。



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