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キャッシュが会社の生命線

  • 吉川義之
  • 9月1日
  • 読了時間: 3分
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 今日は、「キャッシュが会社の生命線」という、当たり前だけれど私自身がかつて理解していなかった話を書きます。

経営者がこの当たり前を知らない―それは本当に危険だと痛感しています。


黒字でもお金が尽きる?

 会社を始めた頃、私は会計の知識がなく、「黒字(利益が出ている)なら会社のお金は増え続ける」と信じていました。ところが現実には、キャッシュが目減りし、残高が尽きかけるという事態に直面しました。あのときは本気で「なぜ?意味が分からない!」と思っていました。

 原因はシンプルです。損益計算書の売上はすぐ現金にならず、売掛金として貸借対照表に計上されます。一方で販管費や仕入は当月や翌月に現金で支払う必要があります。つまり、入金サイト(回収までの期間)と支払サイト(支払いまでの期間)のズレを理解できていなかった私は、売上が伸びるのと同時に経費の支払いが先行して増える構造を見落としていたのです。その結果、先月は黒字でも給料日前に現金が足りない―そんな状況が何度も起きました。社員の給与は必ず支払わなければいけない。意味も分からないまま、何度もポケットマネーを投入したのを覚えています。


「黒字倒産」という言葉を知って学んだこと

 無知だった私は徹底的に調べ、そこで出会った言葉が「黒字倒産」でした。

「黒字なのに倒産? なぜ?」と頭が混乱しましたが、学ぶうちに腑に落ちました。

  • 利益にも種類があること

  • 入出金(キャッシュ)の管理が最重要であること

  • 経営者が借入を活用する合理的な理由があること


こうした基本を、私は株式会社武蔵野・小山社長の本などから学ばせていただきました。


コロナ禍で役に立った“現金最優先”の判断

 年月が流れ、2020年。新型コロナで世界が一変しました。私が経営者としてまず取った行動は、「借りられる現金は上限まで確保する」こと。制度融資の情報を集め、必要書類を整え、上限まで資金を確保しました。理由は明快で、自粛で売上が止まる局面では現金こそが会社を守る盾だからです。


 結果として売上は低迷し、固定費はほぼ変わらない時期が続きました。もしあのとき資金を確保していなければ、今会社は存在していなかったかもしれません。実際、周囲でもキャッシュが尽きて事業をたたんだ例を見ました。


 この経験から、経営の知識がないことの恐ろしさを改めて思い知りました。

まとめ


 「唯一の善は知、唯一の悪は無知(There is only one good, that is, knowledge, and only one evil, that is, ignorance.)」―古代の伝記にソクラテスの言として伝わるこの趣旨のとおり、経営者が無知であることは“悪”になり得ると今は強く感じています。

 黒字でも資金は尽きる。だからこそ、キャッシュが生命線。入出金のズレを理解し、資金繰りを“見える化”し、必要なときはためらわず資金を確保する。この基本を、これからも愚直に守っていきます。

 
 
 

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